今回は時候の挨拶7月編として
 梅雨に関する季節の言葉をご紹介します。
 7月と言っても梅雨明けの前後で雰囲気が変わってしまいますよね。
 梅雨の入り・最中・明け、それぞれの時期に合わせた季節の挨拶をご紹介します。
時候の挨拶 7月:梅雨の挨拶
梅雨入りと梅雨明けの時期
日本の多くの地域では梅雨入りは5月から6月上旬にかけて、
 梅雨明けは沖縄・奄美地方を除くと7月中に梅雨明けを迎えます。
 梅雨明けはその前後を通じて気候の変化が激しいこともあり、その時期にふさわしい季節の挨拶を選ぶと、相手に気持ちが伝わりやすいですね。
時候の挨拶 7月の梅雨入り前の時期
「走り梅雨(はしりづゆ)」
梅雨入り前の5月-6月ごろ、梅雨のように雨が降ることがあります。
 これを走り梅雨(はしりづゆ)や迎え梅雨(むかえづゆ)と呼びます。
 季語としては6月初旬の言葉ですが、5月の中旬頃から梅雨入りするまでを目安に使うことができます。
 例文:雨が降って寒い日が続く、という意味で
 「走り梅雨が続いておりますが、お変わりありませんか。」
 「お体を冷やさないようお気を付けください」
 北海道では梅雨はありませんが、やはり5月下旬から6月上旬にかけて一時的に気温が低い時期があります。これを、ちょうどライラック(リラ)の花が咲く時期であることから「リラ冷え」とよびます。
 「リラ冷えの町」というと札幌のことを指します。
「梅雨入り」
梅雨に入った初めの頃は「梅雨入り」が使えます。
 梅雨入りは気象庁がほぼ毎年発表しており、夏の始まりでもあります。
 「梅雨入りとなり、しと降る雨が続いております。」
 梅雨入りすると、肌寒い日が続く時期もあります。
 これを梅雨寒(つゆざむ)といいます。
「入梅(にゅうばい)」
「入梅」という字を見ると「梅雨入り」と同じ意味のように考えてしまいそうになりますね。
 梅雨入りと同じ意味として使うこともありますが、6月11日ころを雑節で「入梅」とよびます。これは田植え時期の目安の一つとなる暦上の節目です。
 以上の言葉は梅雨入り以前の時期を目安に使う言葉なので、7月よりも前に使うことがおすすめです。
時候の挨拶 7月 梅雨明け前に使える言葉
梅雨入り~梅雨明けまでの、最中の挨拶です。
五月雨
梅雨そのもののことを「五月雨(さみだれ)」といいます。
 旧暦で5月頃であることから「五月雨」といいます。
 また、麦が実をつける頃であることから「麦雨(ばくう)」という言い方もあります。
 「梅の雨」という言い方も、梅雨そのものを指します。
青梅雨
青梅雨(あおつゆ)も梅雨そのもののことです。
 葉を茂らせた草木に降る雨の様子を指すことで、俳句の季語などに用いられます。
空梅雨(からつゆ)
空梅雨とは、梅雨の期間中ほとんど雨が降らない状態を表す言葉です。
 梅雨の時期の雨の量が少ないと、水不足で農業や工業の水が不足したりすることもあります。
 晴れた日が続くことから「照り梅雨(てりつゆ)」ともいいます。
 例文:「空梅雨の青空が続いております。いかがお過ごしでしょうか」
梅雨の中休み
梅雨の半ばの時期に、一時的に天気が回復して晴れの日が続くことがあります。この期間のことを梅雨の中休み(つゆのなかやすみ)とよびます。
「梅雨の月(つゆのつき)」・「梅雨の星(つゆのほし)」
梅雨の時期、雨の合間の夜空に見える月や星のことを指しています。
 雨雲の合間から見える程度のこともあれば、晴れた夜空に浮かぶ姿も風情があるものですね。
 例文「梅雨の月が冴え冴えと見えますね。」
五月晴れ(さつきばれ)
もともとの意味は梅雨の合間にみられる晴れ間のことです。
 この五月とは旧暦の五月のことなので、現在では6月に当たります。
 ただ、最近では気象庁では「五月晴れ」は新暦(今のカレンダー)での5月の晴れた空のことを表し、もともとの旧暦5月の晴れのことは「梅雨の合間の晴れ」と呼ばれています。
男梅雨・女梅雨
弱雨がしとしとと長く続くような降り方を「女梅雨」(おんなづゆ)、
 雨が降るときは短期間に大量に降り、降らないときは晴れる、という降り方を男梅雨(おとこづゆ)と呼ぶ言い方もあります。
送り梅雨
梅雨が終わりに近づくと、
 この時期には雷をともなった激しい雨が降ることが多くなります。
 積乱雲(入道雲)もみられ、この時期の激しい雨を送り梅雨(おくりづゆ)や荒梅雨(あらづゆ)、暴れ梅雨(あばれづゆ)と呼びます。
 雷のことは「梅雨雷(つゆかみなり)」といいます。
 気温も高くなり、細菌やカビなどに注意が必要な時期でもあります。
 例(結びの文で)「送り梅雨が続く中、お健やかにお過ごしください。」
時候の挨拶 7月 梅雨明け後の手紙の挨拶
梅雨が終わり、いよいよ夏を迎える時期です。
 梅雨の期間の終了が発表されることを梅雨明け宣言といいます。
「梅雨明け十日」
梅雨明け後から8月上旬くらいまでは天気が安定することが多く、「梅雨明け十日」といいます。
 この時期は猛暑に見舞われることもあります。
 例文:「梅雨明け十日の暑さが続いております。」
梅雨の終わり
梅雨の終わりを「梅雨明け」といいます。
 梅雨明けのことを「出梅(しゅつばい)」ともいいます。
梅雨明けした後もぐずついた天気となり、雨が続いたり、晴れた後に再び雨が降ることがあります。
 これを帰り梅雨(かえりづゆ)や返り梅雨、戻り梅雨(もどりづゆ)と呼びます。
梅雨とつくが7月以外の時期の言葉
菜種梅雨
菜種梅雨は、3月から4月にかけての菜の花が咲くころに降る雨のことです。
 梅雨のように何日も降り続くことは少ないのですが、曇りや雨の日が続くことがあります。
 すっきりしない天気が多い時期は菜種梅雨(なたねづゆ)と呼んで、春の梅雨として表すことも多いです。
 近年は、暖冬傾向や温暖化の影響などもあり、2月下旬ころからこのような天気がみられる傾向もあります。
筍梅雨
筍梅雨(たけのこづゆ)は、筍が出てくる4月から5月にかけて降る雨です。
秋雨(あきさめ)
おもに8月後半頃から10月頃にかけて、長雨が降り続く時期を「秋雨」といいます。
 「秋霖(しゅうりん)」や、すすきの時期でもあることから「すすき梅雨」などとも呼びます。
すすき梅雨
すすき梅雨は秋雨の事を指します。
さざんか梅雨
おもに11月下旬から12月上旬にかけての、連続した雨が降る時期があり、「さざんか梅雨」といいます。これは山茶花(さざんか)が咲くころに降ることからこう呼ばれています。
まとめ
7月の時候の挨拶や季語として、梅雨に関する表現をご紹介しました。
 手紙や文書、お便りなどのご参考になれば幸いです。